最初のころはほんとうに、何をさせてもダメだった。。。というか、コックさんの中でも下働きをおもにしてきたのかもしれないくて、さらには日本は初めての来日だったということ、さらには本人の性格もあったのだろう。。
真面目で実直だけれど、頑固もの。。。
何をしても、私やオーナーにダメ出しされて、どうにもならなかった。。
カレーを作っても、タンドールも、そして食器を洗わせても、スプーンフォークを洗わせても、さらには掃除をさせても、、、
そして、何度もなんでやめさせないのかなんて思ったけれど、オーナーのひたすら信じてやれのひと言で業を煮やしながらやってきて、あるとき、ベテランコックが帰国することになり、必死で特訓、、なんとかカレーは作れるようになった。。
芋虫から蝶に変幻した一瞬。
それでも、段取りやらなにやらついていて指示しなければまったくもって進まず、叱り飛ばしながらなだめながらなんとか付いてやってきた。。ところが、コックさんの心の中、頭の中は、スリーラさんは、ほかのコックさんばっかり可愛がる。自分にだけ辛く当たる。と言って、へそを曲げる。
こちらが気を抜けば、チキンカレーと言ってるのにキーマカレーを作ってしまったり、ひとつだというのに二つ作ってみたり、違うだろといったら合っているといいはったり、、
とにかく他のコックさんと違いやりにくい人だった。
何がここで起きているかというと、ひたすらオーナーの私の関心を引きたいだけなのだ。ほめられたい、ほかのコックさんのように評価されたい。。そんなことばかり考えているので、間違えたときに私が間違えてるよというと、必ず、ああ、またスリーラさんは自分だけに厳しくするんだ。。スリーラさんのような人の下では誰も働けないんだ、、、ひどい人だ、、というようになった。
、、、ああ、芋虫から蝶に変化ではなく幻で、蛾だったかあ。。。。って感じだけれど、、、
そして、ひたすら承認が欲しい、認めてほしいっていうような無意識の行動は、じつは向けられているほうもかなり疲れるわけで、何かが貼りつくような気持ちの悪さがある。 で、、ちゃんと仕事しろよってさらに厳しく言ってしまうのである。
彼のその行動はエスカレートして、相方にまでスリーラさんはひどいです、、って訴えたようで、一度相方とはそのことで大喧嘩になったことがある。
スリーラは差別をしてるんじゃあないか、、って、、
そして、私の怒りようをみて、あれ？違うようだと思ったのか、コックにちゃんとスリーラのいうことを聞けというようになった。それでも、やっぱりこちらが気を抜けば、洗ったお皿が洗う前より汚れていたり、スプーンやフォークもどうやって洗ったらこうなる？？？ってことがおきる。。。
もう、このコックさんと私のいたちごっこ。。。
つねにつねに、私の顔色をみて、承認がほしくて仕事をしているので、失敗するし、責任がもてないのである。
そんなこんなしているうちに、ベテランコックが帰国（お店へ）してしばらくして、とつぜん辞めていったり、また次の万能コックさんがインドに帰ったきり帰ってこなかったりするうちに、誰かのいない間だけ頑張るとか自分はサブだとか思っていられない状況がやってきた。。
本気でちゃんと責任をもってカレーを作り、皿を洗い、掃除もしなければ、いけなくなってきた今日この頃。。
私の顔色をみて承認を欲しがっている場合ではなく、また誰かの責任にできたり、誰かの後ろに隠れてだれたりできなくなったのか、やっと！やっと！
真剣にいろんなことが出来るようになって、もうスリーラさんが、、、といわなくなった。。。
そう！私の顔色、ボスに認められることではなく、本来のお客様に美味しいって喜ばれる食事をしてもらう。。心をこめて、喜んでもらう。。ってところで、やっと仕事をし始めた！！！！
はあ、、、、長かった。。。。。
おかげで、ちゃんと掃除も食器洗いもこなせるようになり。。。
私の顔色をうかがうことなく、普通に仕事が出来るようになって、やっと私もまとわりつく何かがなくなってほっとした。。。
そして、人間って、逃げ場がなくなったとき、やっと本気が出てくるんだなって思ったりしてｗｗｗ
もうほんとに言い訳が多いコックだったが、いまでは言い訳が少なくなった。。。
本気でやるってことは、責任を持つってことなのかもしれないね。
そうしたら、何かのせいになんてしていられないのかも。。。
やっと、やっと本当に蝶に変容したのかも！！
